ナローバンドUVB療法
短波長紫外線(UVB)の照射は古くから尋常性白斑や尋常性乾癬などの疾患に行われてきましたが、治療効果は満足できるものではありませんでした。近年、これまでのブロードバンド(広波長域)UVBに代わり、311nmにピークを持つナローバンド(狭波長域)UVBの照射が行われるようになり、尋常性白斑や尋常性乾癬の治療に大きな成果をあげています。それ以外の疾患にも有効であることが次第に明らかになってきており、最近ではアトピー性皮膚炎にも健康保険が適用されています。
尋常性白斑の場合、週2〜3回、少なくとも週1回は照射を行う必要があり、効果が現れるまでには数ヵ月を要します。健康保険が適用されますので費用はそれほど高額にはなりませんが、治療が長期になりますので遠方の方は通院に要する費用が問題となります。
顔面の白斑で完治した例もありますが、手の白斑で全く効果のなかった例もあり、部位によって治療効果に差があります。白斑が全身の広い範囲に認められる場合には、完治する可能性は低いと考えられますが、根気よく治療を行えばある程度の効果が期待できます。
紫外線を照射するわけですから発癌性が心配されるところですが、現在のところ通常の照射によって皮膚癌の発生率が明らかに増大するという報告は見当たりません
紫外線の感受性には個人差があります。過剰な照射を防ぐために、当院ではできるだけMED(最小紅斑量)を測定し、紫外線に対する感受性を確認してから治療を行うようにしています。